K1
K1−2(3.5MHz&7MHz)


エレクラフト社のCW専用トランシーバーキットです。

始めに断っておきますが、このRIGは、
CWしかだせません。
2バンド(または4バンド)しかでられません。
アナログVFOなので、QRHもあり、スプリット運用もできません。
(VFOは一つなので、たすきがけはできない、せいぜいRIT範囲)
またVFOの可変幅も80KHz又は150KHzで、組み込み時に選択ですので
ハイバンドではSSBとのクロスモードも難しい。
値段はけして安くありません。

これら現在のメーカー製RIGに比較して短所ばかりのRIGですが、
それでもこの価値の解かる人だけ作って使って欲しいRIGです。
ただ単純にカタログスペックしか見れない方はメーカー製のRIGをどおぞ
(カタログスペックしか見れない=まだまだ若いね〜)

作成

マニュアルには大変詳しく作り方が説明されていますので、
4石スーパーのキットでも作ったことがあれば、誰でも出来ます。


ここでは、イレギュラーなポイントのみ説明致します。


ますはKITを組む前に、オプションのバックライトをオーダーしました。
これはKITを組んでからだと LCDを壊さなくてはならず、5ドルほど高くなるからです。
それに伴い、フロントパネルの組み立て工程で、LCDをつける直前に
バックライトを組み込みます。
バックライト単体での動作確認をします。
私は単三4本でチェックしましたが、DC6Vであれば何でもOKでしょう。

LCDを載せる前に ライトの上にある薄いビニールシートを剥がすのを忘れずに


LCDを半田付けしたら、CPUをソケットに挿す前に、もう一度ライトのチェックをします

ATTの黄色LEDが点灯してますが、写真の場所に電圧を加えた場合は正常です。

このRIGのVFOの心臓部は、ポテンショメーターという多回転抵抗で周波数を可変します。
そのVFOの心臓のポテンショメーターの軸が”プラスチック”なんですね〜。
気に入らないので、後から交換もできますが、組み込み時に金属軸のもので組みました。

ピンぼけでよく解からないかもしれませんが、(写真張り替えました)
 型番のミドルネームが6になっていますね。
純正は1で、これは インチ軸のプラスチック。
6はミリ軸の金属です。 0.35mm細くなりますが、全く問題はありません。
秋葉原、秋月通商で@1500円、ちなみに千石でもメーカー違い品の金属軸があり、
こちらは@1300円でした。


その他の組み込み時の変更点としては、

1、VFOの範囲が80でも広すぎるため、C2を47pで組みました。 約55KHz
2、同様にRITも±3KHzでは広すぎるため、C7を15pで、RIT可変幅±1.3KHz
3、AGCの時定数が不評のようなので、C31を1.0μ、C67を0.1μにしました

フルオプションなので、内部はこんな感じになります。



さて しばらく使ってみたのですが、さすがアナログVFO、やはりQRH(ドリフト)が
気になりました。 この状態でのドリフトは
時間ドリフト=測定不能(温度が一定なら周波数一定)
温度ドリフト=実周波数で-100Hz/1℃
送信すれば機械温度はすぐに数度あがり、非常に気になる状態でした。

実周波数-はVFO周波数が高く動いているためです。
K1の設計は、バリキャップやL、通常のCは温度的+であるため、
それを相殺させるために-の温度補正として、C5,C11,C12にスチコンを使っています。
このスチコンの-補正成分が大きすぎるために、温度が上がると
VFOの周波数も上がるという状況でした。

この部分の回路図

只単にC5とかC11とか言ってもK1をお持ちでない方には何のことやらさっぱり・・・。
で そこの話題の回路図(の一部)を乗せてみました。
 典型的な教科書にある発振回路ですね。
 このVFO、RITはバリキャップ(電圧可変容量コンデンサー)で
  Cの容量を変えて周波数を変更します。


実験1
C11,C12を黒頭セラミックに交換
結果=+100Hz/℃ になってしまった。
スチコンの補正の大きさに驚く。

実験2
C11,C12はスチコンに戻し、C5を黒頭セラミックに交換
結果=-80Hz/℃ に改善されたがまだまだ。

実験3
C5は黒頭のまま、C11,C12をそれぞれ
スチコン1000p+黒頭220pのパラレルに交換
結果=-50Hz/℃ に大幅改善。もう少し良くしたい。

実験4
C5は黒頭のまま、C11,C12をそれぞれ
スチコン680p+黒頭560pのパラレルに交換
少しCが大きくなったため、L2を1回ほどき32ターンに変更
(C11,C12を大きくするとVFO可変幅は若干狭くなります)
結果=-25Hz/℃ に大幅改善。さらに欲がでました。

実験5
C5は黒頭のまま、C11,C12をそれぞれ
スチコン470p+黒頭390p*2のパラレルに交換
L2は32ターンのまま
結果=-5Hz〜+10Hz/℃ 温度域によって変わる。


実周波数としては、ワーストで+10Hz/℃、平均で+5Hz/℃となり、
VFO安定度としては、ワーストで-3.4ppm 平均で-1.7ppmで
メーカー製のアナログVFOより成績がよく大満足の結果でした。

ちなみに、温度的に集中させ結合させるために、純正指定の裏部品は止めて、
全て部品面に配置してあります。


C11,12を同じ物 というのは教科書どおりですが、
これをすると実験のごとに、Cのセットが2組づつ必要になります。
C11,12は大きなアンバランスでなければ、動作には全く問題がありません。
そこで C11か12どちらかを固定にしたくなりました。

ある意味実験は振り出しに

実験6
C5は黒頭のまま、C12を黒頭に
C11をスチコンにしてみました。
結果=大きく+

実験7
C12は黒頭、C11はスチコンのまま、C5をスチコンにしてみました。
結果=今度は− スチコンの効果が強すぎる

では C5でコントロールすることにしてみましょう。
そのほうが1セットで済みますし、3300pと大きいので組み合わせもより広がるでしょう。
さらに言えば、C11やC12よりもC5のほうが大きいため、容量もラフでかまわないし、
変化量の影響は逆に少なくなります。(詳しくは計算してください)
したがって、C5でのコントロールのほうが、微調整もよりやりやすくなります。

実験8
C12は黒頭、C11はスチコンのまま、
C5を 470pスチコン+(1200p+1000p+680p)黒頭(手持ちの関係です)
結果=穏やかな+ +25Hz/℃

実験9
C12は黒頭、C11はスチコンのまま、
C5を 1000pスチコン+1200p*2
結果=穏やかな− -20Hz/℃

実験10
スチコンは1000pと470pの中間あたりに最適値があることが想像されますね
C12は黒頭、C11はスチコンのまま、
C5を 750pスチコン+2700p黒頭
結果=-5Hz〜+10Hz/℃ 温度域によって変わる。
実験5のデータ―とほぼ同じデータ―が取れました。


実験に使用したC郡(一部です)

※ここでいう”黒頭”とは NP0(ネガティブ ポジティブ ゼロ)のCで
別のランク分けでは、CG CHクラスのことを言います。
CGは±30PPM、CHは±60PPMで 温度補償のCとして目印に
頭に黒くペイントされています。=それで黒頭


出来上がったK1

純正ツマミは操作感がいまいちのため、秋葉原で40mmの少し大きな(純正は32mm)
ツマミ@210円に交換しました。フィーリングが数段良くなりました。
いやぁ〜手製のRIGでのQRVは一味ちがいますね〜。


















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